星の数ほどあるズボンの種類。
そもそも「ズボン」ですら「パンツ|ボトムス|ボトムズ|下衣」と呼び方が複数あり、そこに形状や素材など様々な名前が入り組んでまさに混沌の様相を呈しています。
今回はそんな男性向けに展開されているズボンの種類をできる限りわかりやすくカテゴライズし、それぞれの名前についてズボンの特徴を詳しくご紹介いたします。
ズボンの分け方はこの4カテゴリー
この世に散らばる「名前のあるズボンの種類」を強引かつ最小限にカテゴライズしていくと、大きく分けて以下の4つに区分する事ができます。
この4つは時に相互に作用し、「クロップドカットオフテーパードジーンズ」のような呪文を生み出します。
クロップドカットオフテーパードジーンズの内訳
- クロップド=丈の長さ(6~7分丈の事)
- カットオフ=意匠(裾を切りっぱなしにしたデザインの事)
- テーパード=シルエット(先細りなシルエットの事)
- ジーンズ=素材(デニム生地の事)
とは言っても必ずしもこのようなイメージ通りの組み合わせになることはありません。
詳しくは後述しますが、例えば「カーゴバンツ」は意匠を表しますが、多くの場合チノパンツのような綾織の素材が多いため、素材で分けるとしたらカーゴパンツはチノパンツにも属す事になります。
しかし一般的にチノパンツと言った場合カーゴバンツのことは指しません。おそらくチノパンが欲しいという友人にカーゴパンツをプレゼントしたら「これが欲しいわけじゃない」と言われるでしょう。
しかしここでは便宜的に、上述の4種類のカテゴリーで分けてズボンの種類を考える事にしました。多少の矛盾は生じてしまうと思いますが、その辺りはご了承いただけると幸いです。
また、このほかにも「チェックパンツ」などの柄物も流行具合によっては登場しますが、柄まで入れると際限がなくなってしまうので、ここでは割愛させていただきます。
形(シルエット)で分けるパンツ・ズボンの種類
男性向けのファッションアイテムとして展開されている一般的なズボンの名称を形状(シルエット)で分類した場合、以下のような名前のズボンがこのカテゴリーに属すと思われます。
- スキニーシルエット
- スリムシルエット
- ストレートシルエット
- テーパードシルエット
- ワイドシルエット
- フレアシルエット(ベルボトム)
- ブーツカットシルエット
- サルエルシルエット
- ジョッパーズシルエット
- ジョガーシルエット
すごく一般的に使われるものから、実はこれはズボンの素材じゃなくて形状を表す名前だった!なんて物まであるカテゴリーがこちらです。
「スキニーのデニム」や「チノ系のワイドパンツ」「テーパードの効いたイージーパンツ」と言った形で使われる事も多く、比較的出番の多いズボンの種類なので覚えておくのがおすすめです。
スキニーシルエット
スキニーシルエットの特徴
- 足にぴったりとフィットしたデザイン
- 存在感のあるアイテムと相性が良い
スキニーとは、「やせこけた」「骨と皮」のようないわゆる「痩せている状態」を指す意味を持つ言葉。
服のシルエットが皮膚のように体にぴったりフィットしている状態を指しており、スリムシルエットのズボンよりもさらに細いデザインのズボンの事をこの名前で呼びます。
スリムシルエット
スリムシルエットの特徴
- ストレートに対して細いものを指す
- 現在最も主流なズボンのシルエット
一般的なストレートシルエットのズボンに対してスリムな形状でフィットするものをスリムシルエットと呼びます。
どのシルエットのズボンを買うか迷っている場合は、とりあえず自分に合うサイズでスリムシルエットのスボンを選ぶのが現在の主流。
ジーンズやチノ以外にスーツスタイルに合わせるスラックスなんかも現在はスリムシルエットが主流であり、オンオフ問わず使えてトレンド感が出せる人気の形状です。
ストレートシルエット
ストレートシルエットの特徴
- 膝から裾まで真っ直ぐなシルエット
- 流行り廃りの無いメンズ向けズボンの定番
スーツに合わせるスラックスやジャケパンの定番であるチノパンではスリムシルエットと同じくらい人気の高い定番の形状です。
ここ数年ストリートファッションにおけるトレンドとなっているのはストレートパンツですが、いわゆる「ダサかっこいい系」のスタイリングなため比較的上級者向けなイメージがあります。
テーパードシルエット
テーパードシルエットの特徴
- ゆったりした腰回りから足首に向けて細身になる形状
- 足の形が細く綺麗に見える
テーパーとは細長い物体が先細りになっている事であり、そう言った作りにする事を「テーパーをつける」と表現する事もあります。
テーパードのズボンという事はその例にならって、ゆったりした腰回りから足首に向けて細身になる形状のズボンの事であり、足の形が細く綺麗に見えることから脚を長く見せる事が可能です。
Yラインシルエットが作りやすくお洒落初心者におすすめされやすいズボンでもあります。
ワイドシルエット
ワイドシルエットの特徴
- ストレートに対して幅の広いズボンの総称
- ここ数年のメンズ向けズボンのトレンド
ビッグシルエットに合わせやすく、メリハリのあるトラッドスタイルまで幅広く使える「今が旬」なズボンです。
ここ数年のトレンドとしては、スラックスなどに使われる化学繊維系の素材を使ったストレート系のワイドパンツをセンタープレスして使用するのが人気の着こなし。
また、デニムやチノのワイドパンツを使ってカジュアルな中にもトレンドのワークスタイルを混ぜ込むなんてのも人気です。
フレアシルエット(ベルボトム)
フレアシルエットの特徴
- ストレートに対して裾の広がりが大きいシルエット
- フレアよりベルボトムの方が広がりが極端
ワイドパンツの流行により、ウィメンズのファッションシーンでは比較的コーディネートに取り入れられる事が増えたフレアやベルボトムと言ったシルエット。
ベルボトムはその昔「パンタロン」や「ラッパズボン」と言った名前で呼ばれており、フレアよりも極端な裾の広がりが特徴で、70年代のヒッピースタイルには欠かせないアイテムとなっています。
ブーツカットシルエット
ブーツカットシルエットの特徴
- フレアシルエットに対してストレート寄りの作り
- ブーツオーバー出来るギリギリの裾幅
ブーツカットはその名の通り、ブーツを履く時に裾がもたれぬよう膝下から適度に広がりをもち、カウボーイがブーツにデニムを合わせた事で誕生した由緒正しきデザインの1つです。
ファッションシーンではここ10年以上「そろそろブーツカットが来る」なんて言われ続け結局1度も来た事がありませんが、ワイドパンツの流れもありゆったりしたズボンに抵抗が薄くなってますから、本当に流行るかもしれません。
サルエルシルエット
サルエルシルエットの特徴
- 元々はイスラム文化圏の民族衣装
- 股下が深く足首の裾部分が絞られている形状
サルエルを定義的に話すのであれば「股下が深く落ちて下がり、足首の裾部分が絞られているズボン」の事です。
シルエット的には全体的にゆったりとした物が一般的ですが、ニッカーボッカーズのように裾すれすれまでふくらみがあるデザインや、膝あたりからタイトなシルエットになるものまで様々です。
股下が足首まで垂れ下がっているものは「アラジンパンツ」という名前で呼ぶ事もあります。
ジョッパーズシルエット
ジョッパーズシルエットの特徴
- 膝上がゆったり膝下は絞ったデザイン
- サルエルと違って股下は下がっていない
ジョッパーズパンツとは、乗馬に使うパンツの事。本来はタイトフィットで使用するものですが、ファッションのトレンドとしては比較的ゆったりした着こなしが主流です。
サルエルと似た雰囲気を纏っていますが、サルエルと違って股下の位置が下がっていません。
ブーツインして使用する事が前提なので、膝下はかなりタイトな作りとなっており、極端なものでは太腿周りがカボチャのように膨らんだシルエットのデザインもあります。
ジョガーシルエット
ジョガーシルエットの特徴
- 膝上がゆったり膝下はタイトなシルエット
- ジョッパーズよりも全体的にタイトなのが一般的
「ジョガーパンツ」というと、一般的にはスエット素材を使用しアンクル丈あたりで裾がゴムなどによってリブになっており、ジョッパーズのようなゆったりした状態から裾にかけてテーパードされたズボンを指します。
しかし、ジョギングパンツ由来のジョガーは簡単に言ってしまうと「ジョッパーズをさらにタイトにしたシルエット」の事であり、デニム素材のジョガーパンツやチノ素材のジョガーパンツなどもあります。
詳しくは後述しますが、スエット素材で裾がゴムになっているタイプのズボンは、ジョガーパンツではなく「リブパンツ」呼び、種類分けするなら一般的にイメージされるジョガーパンツは「ジョガーシルエットのリブパンツ」となります。
丈の長さで分けるパンツ・ズボンの種類
男性向けのファッションアイテムとして展開されている一般的なズボンの名称を裾丈の長さで分類した場合、以下のような名前のズボンがこのカテゴリーに属すと思われます。
わかりやすいようでわかりにくいのが丈の長さでズボンの種類を表現する場合です。
髪の長さでいうところの「これはショート?それともミディアムショート?」のような、履く人の身長や足の長さによって大きく変化してしまう曖昧さがあります。
クォーター丈
クォーター丈の特徴
- 足の4分の1の丈のショートパンツの事
- 主な用途はトレーニングウェアとしての利用
足の長さの4分の1の丈のショートパンツの事を指し、ハーフパンツよりもさらに短く一般的にはラントレーニングなどに使用するスポーツウェアとして展開されています。
しかし極端なハーフパンツが夏のトレンドに挙がる事もあり、スポーツミックスな上級者向けコーデや個性派プレッピースタイルの着こなしに活用される場面もあります。
ショート丈(膝上)
ショート丈(膝上)の特徴
- 膝上5cmまでのショート丈
- 夏場の定番スタイルとして人気
基本的に、膝上5cm以上の丈の短いショートパンツはクウォーターパンツ的な扱いになります。
いわゆる「夏場を快適に過ごすショートパンツ」としては膝上のショート丈が定番であり、ポロシャツやサマーニットなどと合わせて短パン小僧にならないような着こなしを目指すのが一般的です。
夏のワードローブに欠かせないアイテムといえば「ショートパンツ(ハーフパンツ|短パン)」。 タウンユースはもちろんのことアウトドア遊びまで幅広く使えますが、ともすれば子供っぽくなりやすくお洒落に着こなすにはある程度の知識とテクニックや上[…]
ショート丈(膝丈〜膝下)
ショート丈(膝下)の特徴
- 膝を覆いつつミドル丈まで行かない半ズボン
- 「短パン小僧」を回避出来る安全仕様
膝丈から膝下丈にかけてのショート丈かつミドル丈まで行かない程度の長さの半ズボン。
いわゆる「ショートパンツ」と言われる丈であり、膝上ショート丈特有の「脚を出しすぎてキモイ現象」や「夏休みの短パン小僧」的なバランスを回避しやすい定番丈です。
お洒落初心者が夏のハーフパンツを探すなら、まずは膝丈から膝下までの丈の長さで選ぶのがおすすめです。
ミドル丈
ミドル丈の特徴
- 膝下5cm以上〜6分丈あたりまで
- 膝を隠す必要のあるスタイリングを意識すると着こなしやすい
一般的には「子供っぽい」「大学生っぽい」と女性ウケが最悪なミドル丈。特に折り返すと裏地が柄物なんてタイプは最悪なので要注意です。
しかし、ミドル丈といえばクライミングパンツやスケーターが愛用するハーフパンツの定番の長さ。
ミドル丈のクライミングパンツにアウトドア系のトップスを組み合わせてアウトドアなスタイリングにしたり、パリッとノリの効いたワーク系ブランドのミドル丈でオールドスクールなスケーターを気取ってみるのはアリです。
クロップド丈
クロップド丈の特徴
- 6~7分丈の長さ
- ゆったりめの腰回りに絞り気味の裾が定番
クロップとは「切り取る・刈り取る」と言った意味をもち、画像編集などではトリミングという言葉で表現される事もあります。
まさにストレートやテーパードのズボンを切り取ったかのようないわゆる「半端丈」の長さが特徴です。
一般的にスパッと切ったストレート気味のデザインが覆いミドル丈に対し、クロップド丈は裾に向かうにつれてテーパードが効いた先細りな形状になっている事が多い傾向です。
ミドル丈と同じ6分丈程度の長さでも、裾の雰囲気によって名前が変わっているような場面もあります。
アンクル丈
アンクル丈の特徴
- 踝に乗るか踝のやや上までの丈
- フルレングスより軽やかな印象
アンクルとは英語で「足首」をさす言葉。
足首を見せる事で脚を長く演出出来る他、フルレングスより軽やかな印象になるので夏場でも長めのズボンが履きたい方や、重苦しさを出したくない春先のスタイリングに活躍してくれます。
大人カジュアルの定番であるマリンルックから、アンクル丈のワイドパンツなどでソックスを見せるストリートライクなコーディネートまで組み合わせは無限大の定番丈です。
フルレングス
フルレングスの特徴
- いわゆる「長ズボン」の事
- 最近は「引きずるほど長い物」を意図的に指す事もある
丈の長さを区分する時にフルレングスという言葉を使った場合は、クロップスやショーツに対して「丈を足が見えるほど調節していない長ズボン」の事を指すのが一般的です。
しかし普段の会話等であえて「長ズボンが欲しい」ではなく「フルレングスのズボンが欲しい」なんてキーワードを出す場合は「床に届くほどの長さ」や「引きずるほどの長さ」の長ズボンを指す場合もあります。
ちょうどいい長さの長ズボンに対してあえて「フルレングスの〜」という言葉を使うのは珍しく、マキシレングスやフロアレングスという言葉を知らない方がフルレングスという言葉で表現する場合も多いので注意しましょう。
意匠で分けるパンツ・ズボンの種類
男性向けのファッションアイテムとして展開されている一般的なズボンの名称を意匠の名称やデザインで分類した場合、以下のような名前のズボンがこのカテゴリーに属すと思われます。
- スラックス
- プリーツパンツ(タックパンツ)
- リブパンツ
- イージーパンツ(リラックスパンツ)
- カーゴパンツ(カーゴショーツ)
- ペインターパンツ(カーペンターパンツ)
- シェフパンツ(コックパンツ)
- オーバーオール(サロペット)
- カットオフパンツ
比較的「ややこしい」ジャンルがこのタイプです。
主にズボンに施されている象徴的な意匠によって、もしくは特定の職業などに合わせて施された意匠によって名前が付けられている物がこのジャンルです。
それは時に素材やシルエットに言及されることもあり、その他のジャンルとも非常に近しいズボンであることも多く、区分けが曖昧になっている場合もあります。
スラックス
スラックスの特徴
- ファッションの用語としては「ズボン」の事
- 一般的にはスーツの下に履いて違和感のないズボンの事
非常にややこしい話ですが「スラックス」というズボン自体は存在しません。なぜならスラックスは「(ゆったりした)ズボン」を指す言葉であり、現在は背広や制服といった特定の上着と対をなすズボンのことを全般的にスラックスと呼ぶからです。
ややこしいことに最近では、スラックスという言葉が「ゆったり」という意味があるにもかかわらず、ゆったりしていないタイトなシルエットでもスラックスと呼ぶようになってきています。
スラックスは多くの場合、タックでゆとりを持たせていたり、センタープレスを設けていますが、必ずしもそれがないとスラックスと呼べないというわけではありません。
ただし、男性向けのファッションアイテムとして「スラックスが欲しい」なんて話をした場合は一般的に、ウール、コットン、ポリエステルなどの素材を使い、タックやセンタープレスのある比較的ゆったりしたシルエットのズボンを指す事が多いかと思います。
これも時代やトレンドによって変化する事が多いため注意が必要です。
非常に似た言葉に「トラウザーズ」という名前があります。これは要するにスラックスの事であり、イギリスではスラックスのことをトラウザーズと呼びます。
あえてスラックスとトラウザーズを分けている場合は、スラックスに対してドレッシーなものやフォーマルよりな物をトラウザーズと表現する事が多いように思われます。
プリーツパンツ(タックパンツ)
プリーツパンツの特徴
- ウエスト周辺に「プリーツ」の入ったズボンの事
- ゆとりと華やかさのあるエレガントなルックス
多くの人はプリーツパンツのことをタックパンツと呼んでいますが、本来タックとというのは生地が寄ったヒダ部分を指し、縫い合わせ部位にのみ折りが入るため厳密にはタックではありません。
そう言った意味で「厳密なタックパンツ」というのは存在しないのです。
反対にプリーツとは、生地のゆとりを持たせるためや、生地に立体感を出してエレガントに見せるために、布を折って作るヒダのことです。
プリーツは1本1本きちっとヒダ先まで折りが入り、ヒダの山の頂点が明確な尖った印象であり、最も多くの人がイメージしやすいプリーツの質感はセーラー服のスカートのヒダかと思います。
プリーツ(タック)の入る本数や向きによって名前が違ってきます。
リブパンツ
リブパンツの特徴
- 裾部分が「リブ」になっているズボンの事
- スボンをたくし上げやすく足が細く見える
「リブ」というのは、トレーナーやパーカーの袖のように伸縮性のある横編みの一種。リブ編み以外にもゴム編みや畦編みと言った名前で呼ばれます。
ここ数年はジョガーパンツの裾に採用される事が多く、それに合わせて「スウェットパンツ」のほとんどがリブパンツになってきています。
しかし、カーゴパンツなどのチノ系素材の裾をリブにしてあるズボンや、ストレッチデニムなどの裾をリブにしてあるズボンも多いため、一概に「リブパンツ=スウェットパンツ」というわけではありません。
ただし、ここ数年の間は流行もあってリブパンツというとスウェットをイメージする方が多いように感じます。
イージーパンツ(リラックスパンツ)
イージーパンツの特徴
- ウエストをベルトではなく紐やゴムで固定する
- 部屋着のような快適さでかなりフォーマルなデザインもある
その圧倒的な快適さからここ数年で完全に市民権を得たイージーパンツ。
ウエスト部分さえ隠していればビジネスカジュアルまで使えるような大人顔のデザインや、トレンドのワイドシルエットなど幅広く展開されており、今やほとんどの人が愛用しているほど普及しています。
ポイントとなるのはズボンのデザインではなくウエスト周りの構造です。
チノパンだろうとデニムだろうと構造はほとんど一緒で、一般的にはウエストがゴムバンドになっており、そこに紐が搭載されておりしっかり固定する事も出来るという仕組みです。
カーゴパンツ(カーゴショーツ)
カーゴパンツの特徴
- ミリタリーファッションの定番アイテム
- 主に「たくさんポケットのある物」を指す
カーゴ(貨物船)パンツという名の通り、荷役作業などに従事する際の作業着をルーツに持っています。
カーゴパンツの基本形としては1951年のアメリカ陸軍で採用されたM-51戦闘用ズボンであり、合計で6つのポケットがあることからカーゴパンツは「6ポケットパンツ」という名前で呼ばれたりもします。
多くの場合はチノパン同様の綾織のチノ素材が採用されており、比較的ゆったりしたデザインのものが一般的。
しかしそのルックスの良さからデニムはもちろんサテンやコーデュロイと言った素材で作られたものもあれば、スキニーパンツのようなタイトなシルエットで作られたデザインもあるため、現在ではたくさんポケットのついた物をカーゴパンツと呼んでいるイメージです。
カーゴパンツをそのまま半ズボンにしたデザインはカーゴショーツと呼ばれます。
ペインターパンツ(カーペンターパンツ)
ペインターパンツの特徴
- アメカジやストリートの定番アイテム
- ゆったりしたシルエットとワークなディテールが特徴
「ペンキ職人(ペインター)」や「大工(カーペンター)」が使用するためのワークパンツをベースにしたデザインのズボンをこの名前で呼びます。
一般的には動きやすく汗をかいても快適なダボっとしたシルエットに、デニムやヒッコリーといった丈夫な素材を使用し、ハンマーループやスパナポケットと言った意匠が施されている物を指します。
その名の通りペンキで装飾されたりダメージ加工が施されるのも多く、反対に意匠だけそのままでスキニーシルエットなどのタイトなデザインにリファインされたものもあります。
シェフパンツ(コックパンツ)
シェフパンツの特徴
- ワイドなシルエットと豊富なパターン
- イージーパンツ的なドローコード仕様が一般的
シェフパンツ(コックパンツ)の名前の通り、元々は厨房で忙しなく動き回っても快適に過ごせるズボンとして、ゆったりしたシルエットにカジュアルすぎない見た目を併せ持ったデザインの物を指します。
現在シェフパンツとしてイメージされるのは、ワイドチノのようなスッキリとした見た目とゆったりしたシルエットのイージーパンツのものが一般的。
チェック柄やストライプ柄などの展開も広く、中には「チェックパンツ」などの名前で呼ばれるものもあります。
オーバーオール(サロペット)
オーバーオールの特徴
- 肩紐のある吊りズボン
- 特別個性的な見た目
ズボンとしてのギリギリのラインと言えるのがオーバーオール。これに袖などがつくとオールインワン(ツナギ)になるためズボンという枠から外れます。
オーバーオールとサロペットでは厳密にいうと肩紐部分の長さや背中の開き方で差があるのですが、現時点でサロペットがメンズファッションで流行しておおらず、基本的にはオーバーオールとサロペットは同一の物を指す言葉として使われます。
カントリーやワークといったスタイルから、個性はコーディネートの主役として使われる事もある比較的上級者向けのズボンです。
カットオフパンツ
カットオフパンツの特徴
- 裾部分を切り落としたデザイン
- ラフさと軽快さに合わせてスッキリした印象
ズボンの裾部分をスパッと切り落としたようなデザインになっているのがカットオフパンツの特徴。
「切り落としたような見た目」だけでなく、本当に「切り落としただけ」のデザインも多く、意図的に端末を縫い付けずに毛羽立たせたり、巻き上げ気味に処理するデザインも人気。
基本的には丈は無関係ですが、フルレングスのデザインは少数派。
一般的にはアンクル丈からクロップド丈であり、メンズの場合はここ数年カットオフのショーツが人気となって夏の定番ズボンとなっています。
素材で分けるパンツ・ズボンの種類
男性向けのファッションアイテムとして展開されている一般的なズボンの名称を素材名で分類した場合、以下のような名前のズボンがこのカテゴリーに属すと思われます。
素材で分けると言っても単純に素材だけでなく、その名称から一般的に想像されるズボンのシルエットがありますので、その辺りについて以下で詳しく紹介いたします。
デニムパンツ(ジーンズパンツ)
デニムパンツの特徴
- 厚地で丈夫なあや織りの綿布
- メンズファッションの定番アイテム
いわゆる「ジーパン」の事です。
デニムパンツ、という言葉を聞くと一般的には、10番手以上のタテ糸をインディゴによって染色しヨコ糸を未晒し糸で綾織にした、藍色の生地を使ったズボンが一般的です。
しかしカラーデニムと呼ばれる赤や緑などの展開はもちろん、黒や白といったものもデニムパンツに含まれます。
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チノパンツ
チノパンツの特徴
- デニムより若干きれい目な印象
- 一般的には「ベージュ」のイメージ
「チノパン」の愛称で親しまれるチノパンツ。
藍色のデニムに対して、ベージュのパンツ=チノパンというイメージを持つ方が一般的ですがこれは大きな間違い。
チノパンはいわば「チノクロス=単糸で編まれている綾織りで光沢のある生地」を使ったズボンの事であり、フランス軍が採用した事で汚れの目立たないアースカラーに染色した事が由来。
そのため定番のカラーとしてベージュやカーキなと言った物が挙げられますが、ネイビーや白はもちろん赤や黄色などチノパンといえど様々なカラーが存在します。
イメージ的にはストレートシルエットの物が一般的ですが、ワイドやスキニーはもちろん、カーゴパンツやペインターパンツもチノクロスを使って作られればチノパンという扱いになります。
メンズファッションにおけるボトムスの定番アイテムとして不動の地位を獲得する「チノパン」ことチノパンツ。 ワーク&ミリタリー由来のタフな素材と、デニムに対してどことなくスッキリとした大人カジュアルな雰囲気が、キレイめコーデやドレッシーな[…]
リネンパンツ(コットンリネンパンツ)
リネンパンツの特徴
- シャリっとした肌触り
- 通気性がよく見た目にも涼しげ
一般的にメンズのリネンパンツといえば麻(リネン)もしくは綿麻の混紡であるコットンリネンを使ったトラウザーズやスラックスに代表されるきれい目デザインのズボンの事。
最近ではイージーパンツ系のゆったりしたワイドシルエットや柄物の展開も多く、徐々にリネンパンツも多様化してきているため、明確なイメージが持ちにくくなってきています。
ビジネスシーンやトレンドにあまり敏感でない人と話すときのリネンパンツはトラウザーズを指す事が多いですが、ここ数年のファッションシーンでリネンパンツというと「夏に快適な涼しいズボン」という感覚で話される事が多いように感じます。
シアサッカーパンツ
シアサッカーパンツの特徴
- しじらの入った織物を使ったズボン
- 爽やかで清涼感あふれる印象
通気性の良さと快適さからパジャマの代表的な素材として使われるシアサッカー。
古くは亜麻が一般的でコットンリネンなども使われていたため、リネンパンツの一種として存在していましたが、ファッションシーンで注目されるようになったらシアサッカーパンツという名前で呼ばれるようになりました。
縞状のしぼの入った織物が使われており、ここ数年はシアサッカーパンツというとテーパードのかかったスッキリしたシルエットかつイージーパンツのようにゴムやドローコードが採用されているデザインが一般的です。
中にはハーフパンツタイプのものもあり、こちらはシアサッカーショーツと呼ばれるのが一般的です。
コーデュロイパンツ
コーデュロイパンツの特徴
- 秋冬におすすめな季節感のある素材
- 最も有名なコーデュロイは黒板消し
コーデュロイはパイル織物の1つで、麺を縦にビロード織りした生地の事。
表面がボコボコと波打つように織り上げられており、生地の中に空気の層を作りやすく保温性が高い事から、秋冬や季節感の強いシーズンの衣類に使われる事が多い素材。
一般的にコーデュロイパンツというと茶系の配色でフルレングスに作られたズボンの事を指しますが、コーデュロイ自体はあらゆる色の物があるため、お店によっては豊富なカラバリから選べます。
スウェットパンツ
スウェットパンツの特徴
- スポーティなコーディネートの定番
- 伸縮性に優れ頑丈で汗を吸収しやすい
「スウェット」というと真っ先に思い浮かぶのがオラオラ系のヤンキーかも知れませんが、最近ではジョガーパンツなど細身なシルエットのスウェットがトレンドになり徐々にその印象も薄らいできました。
しかし今でもジョガーパンツやリブパンツという言葉を使わず「スウェットパンツ」と言った場合にイメージするのは、ウエストをドローコードやゴムで固定し、比較的ゆったりしたシルエットで裾にリブのあるフルレングスのズボンではないでしょうか。
スウェットとは、綿を平編みにしたニット生地の事であり、表地と裏地で質感が異なる二重構造生地になっているのが一般的です。
ジャージーパンツ
ジャージーパンツの特徴
- 体操服の定番「ジャージ」
- ストリートスタイルの定番アイテム
ここ数年、ストリートファッションの定番としてトレンドアイテムになっているのがいわゆる「ジャージ」であるジャージーパンツです。
特にアディダスを筆頭としたサイドストライプのあるジャージの人気は高く、比較的ゆったりしたシルエットからジョガーパンツのようなタイトシルエットまで様々なデザインが展開されています。
一般的にジャージー素材というと、メリヤス編みでニットに伸縮性を持たせた素材の事であり、主にポリエステルなどの化学繊維が使用されています。
「ジャージ」はつまり素材の事ですが、トップスの場合は「トラックジャケット」という言葉が使われるため、ジャージというと一般的にズボンの事を指す場合が多いように思います。
メンズズボン・パンツの種類まとめ
本記事では【メンズ向けズボンの種類】をご紹介させて頂きました!
ほとんど同じような見た目のズボンでも、アプローチの角度によって名前が違ってくるのがよくわかると思います。
シルエットや素材の名前を理解しておけば、街で見かけた自分の欲しいズボンを絞り込んでいく事ができますので、是非覚えておく事をおすすめします。